2021年 年頭所感

Text by 伊藤 雅人

21世紀の幕開けから20年が経過しました。

振り返ってみれば私たちはこの間に前の世紀から引きずった価値観を
揺さぶられ続けてきたように思います。


そしてこの21世紀初頭の二十年紀の終わりにCOVID-19が更なる激震をもたらしました。
この振動は産業革命以降長きに亘って市場経済に活きる人々が中心に引き寄せてきた価値観と、その周辺部に追いやられていた大切なものたちとの位置交換を促す動力となっているようにも
感じます。


ところで、この状況は私たちにとって逆風なのでしょうか。


仮にそうであったとしても、逆風も風力には違いありません。
帆船を操った経験も無い者が言及するのもおこがましいのですが、
価値の組み換えや創造的破壊といった人間の営みに
映像が担い得る役割が増々拡大して行くであろう時代にあって、
強い逆風の中でも上手回しを駆使しながら風上に向かって行く、
たとえ一直線ではなく稲妻型を描いたとしても目指す方向に力強く近づいてゆく、
そんな帆船の乗員を思い描きながら自己研鑽を積み重ねていこうとスプーンは考えています。


但し、上手回しは小手先の技術ではないはずです。
基本を疎かにせず、体幹を鍛えぬき、風に対する感応力を磨き上げた者だけが有効に使える
技なのだろうと想像します。

そのことを肝に銘じ、且つ、活力を失いかけている人々にとって
「希望につながる何か」を視覚化することが、
大切な「復元力」を強化するための一助となるとの信念をもって、
私たちスプーンは2021年の第一歩を踏み出します。




株式会社スプーン 代表取締役 伊藤雅人