Spoon リレー・エッセイ #2

Text by 若林 晴比古

”この際だからお互いの精神距離を
ほんの少しだけでも良いから
縮める試みをしてみよう。”

前回の緊急事態宣言中、
代表である伊藤のこの言葉から始まったSpoon リレー・エッセイ


第2回目となる今回は、
経理部リーダー・若林晴比古のエッセイです。

どうぞご覧ください!


* * * * * *
思い返せば
リレーエッセイのスタートが
今からもう半年以上前のこと。


その頃我が家には、
幼稚園に通えなくなり近所の公園に行く事もままならず、
有り余るエネルギーを発散するには
自宅だけでは物足りない欲求不満な4歳男児が居ました。


ある日、仕事から帰ると
大人にとってはなんてことないですが
4歳児にとってはとても大きな木の枝(幹?)が
自宅玄関にゴロンっと転がっていて、


「なにこれ?」と聞くと、
「木!!」と元気よく答える4歳児。


「何に使うの?」
「これでコロナをぶっ倒すのっ!!!」

と鼻息を荒くして
コロナウイルスに挑もうとしていました。


結局、目に見えない敵に巨木で勝てるはずもなく
静かに自宅で過ごす日々が続くことになります。


そんな憎きコロナではありますが、在宅期間中には、
自由に創作できるレゴのようなブロック遊びを息子がいつの間にか得意になるという
災い転じて福となすようなことが起きました。


図鑑で見たライオンにワニ、
大好きな恐竜ティラノサウルスや首が3つのキングギドラ。
見たものだけでは飽き足らず空想の生き物まで次々とブロックで表現しては
名前を付けて特徴まで設定していきます。
あふれだす創造力、それは蛇口の壊れた水道のようにジャージャーと。


「一緒に作ろう!」と誘われたものの
黄色と赤色のブロックを両手に持ち固まってしまう私。


カチャカチャやってみるけれども
「意外とむずかしいなこれ・・・」
それをよそに彼の手は止まらない。
なかなか出来ない私を見かねてか気を使ってアドバイスをくれる始末。


それでもなかなか出来ないもんで終いには
モグラドリンジャー(空想の生物)を1つ貸してくれました。


なんというかまぁ使い古された表現ですがスポンジのような頭の持ち主です。
抜群の吸収力で表現力も豊か。
そんな彼の感受性の豊かさに
老いて枯れないよう自分を鼓舞するために
茨木のりこさんの有名な詩を
このエッセイの最後に書き残したいと思います。



 自分の感受性くらい 茨木のりこ

 ぱさぱさに乾いてゆく心を
 ひとのせいにはするな
 みずから水やりを怠っておいて

 気難しくなってきたのを
 友人のせいにはするな
 しなやかさを失ったのはどちらなのか

 苛立つのを
 近親のせいにするな
 なにもかも下手だったのはわたくし

 初心消えかかるのを
 暮らしのせいにはするな
 そもそもが ひよわな志にすぎなかった

 駄目なことの一切を
 時代のせいにはするな
 わずかに光る尊厳の放棄

 自分の感受性ぐらい
 自分で守れ
 ばかものよ