【第3回】スプーンのあたらしい風

Text by あたらしい風

スプーンのあたらしい風、第3回目の投稿です。
今回は、制作部2年生山下が中学生の頃から続けている趣味
“音楽制作”についてご紹介します!



僭越ながら早速、山下が去年の1月、緊急事態宣言真っ只中に自作した曲「ここにないウイルス」をお聴きいただきたいと思います。
ぜひ流しながらお読みください。


私は小学生の頃からピアノを習い、中学生の頃からバンドを組んだり弾き語りをしたり…
独学でひっそりと音楽を作って参りました。
そんな中、大学4年生になる直前に突入したコロナ禍に対し、今自分が考えていることをどんな小さなものでも良いから形にしておきたい。
そんな思いで作詞の題材を探していた時のことです。

保険会社の事故応対センターで働く知人からこんな言葉を聞きました。
「コロナ禍で仕事が減ったのが嬉しい」
コロナの影響で外出する人が減ったことで、自動車事故の応対件数も減少。
お客さんから届く悲痛な思いや高圧的な言葉の一部は彼女の元から消え去ってしまいました。
(しかし彼女から離れた声は決してこの世から消えたわけではなく、逼迫した医療業界や失業相次ぐ飲食業界など、他の場所で発生し、その様子は連日報道されていたわけですが…)
彼女の思いは一種無責任なものだったかもしれません。ただ同様の思いを抱いたひとも決して少なくなかったでしょう。彼女は行動の制限された先行きの見えない世界の中で、少しでもこの状況を好意的に捉えようとしました。
そういった心情のひだを無視して、人々を不安にさせたり、一方で単に鼓舞したりするメッセージだけが流布していることに違和感を感じ、自分なりに、このコロナ禍を記録しておこうと思ったのが「ここにないウイルス」という曲です。

また些事ですが、私が映像制作業界を志すきっかけの1つとなったのも、映像を駆使したさまざまなエンタメの試みが、コロナ禍に応じて次々と生まれる光景を目にしたことでした。
多くの人に、同時に、直接響く「映像」という表現形態についての力を身につけたい。CM・MV・映画・ドラマの垣根を問わずに勉強したい。そんな思いでスプーンの門を叩きました。
切っても切れない関係にある「音楽」と「映像」。
その両方を討究し、我が身の血肉とするのである…!
そんな風に決意できたのも、間違いなくコロナ禍のおかげです。
長々と書きましたが、結論といたしましては
「コロナ禍、悪いことばかりじゃないな。」
そんな当たり前のことを考えて、曲を作りました、というお話です。


以上、山下の自己紹介でございました。
今後、映像の面からも音楽の面からもこの「あたらしい風」に参加いたしますので、
どうぞ温かい目でご覧いただけますと幸いです。



「ここにないウイルス」
作詞・作曲 山下真太郎

最近、自動車事故が減っている
仕事が減るのは色々嬉しい
あの忙しさは、ここにない
あの忙しさは、どこにある
消毒の手荒れに塗り込むクリーム無くなりかけてる
帰りに立ち寄るドラッグストアは24時間

最近、0主張客減っている
怒号が減るのは色々嬉しい
あの諍いは、ここにない
あの諍いは、どこにある
自宅の食事はバランス偏って太りかけてる
歩いて立ち寄る定食屋さんは一時休業

わたしの暮らしには信義誠実の枷が付いてる
密かに立ち寄るデカめの無印暮らしの余白
今夜も立ち寄るあなたの家には8時到着