旅すること 走ること 料理すること Vol.05

Text by 大桑 仁

料理すること② ~カンヌで料理すること~

スプーンは10年以上前からカンヌ広告祭の時期に広いキッチン付きの部屋を借りている。
社員は往復飛行機代を自分で出せば、滞在費と食費と(高い)カンヌのパスは会社で出す、
というスタイルでずっとやってきている。
ヨーロッパの食文化は本当に豊かだ。マルシェが本当に楽しい。季節を感じる。
日本にもたくさん増えて欲しい。
6月中旬の南仏は、日本で買えない平べったい桃や、アプリコット、ズッキーニの花、
生のアーモンド、セップ茸(イタリアのポルチーニ)、ジロール茸などがちょうど良い季節。
味見させてもらいながら買い物をする。
マルシェの中は毎年だいたい同じ場所に同じお店があるので、サラダ用の葉物野菜はここ、
フルーツはここ、と決まったお店で買うようになってきた。
マルシェのまわりのお店も楽しい。
多種多様なスモークサーモンを注文に応じてスライスしてくれるお店や、クスクスのお店、
ヒヨコ豆の粉で作ったクレープ状のものを、薪釜で焼いているソッカのお店などを毎年覗く。

ヨーロッパのお肉屋さんは肉食文化が古いだけあって本当に素晴らしい。
お気に入りのお店はこちらのリクエストに応じて大きな塊り肉からカットしてくれる。
日本では普段買えない、子牛の肉とか内臓全般、鳥の種類も色々と充実している。
新鮮な大きなレバーの塊を抱えて見せてくれて、
何枚切ろうか?と聞いてくれる肉屋のおじさんは自分の仕事が誇らしげ。
そのレバーを使った料理が最近のお気に入り。
軽く小麦粉をまぶして、バターでカリッとソテーして、バルサミコをかけて食べる。

一緒に行った皆と一緒にキッチンに立って話しながら料理を作って、 
お酒を飲んで話すのは本当に楽しい。ちょっと距離が近くなる。 
我々の仕事はチームで動く。 
だから、そんなことが凄く大事なんじゃないか、と思ったりするのだ。

またカンヌ広告祭の季節がやってくる。
そう、今年からスプーンハウスが別の場所になります! 
会場からの距離はあまり変わらず、マルシェにより近くなった。

今年も、私は毎日朝ごはんと昼ごはんと晩ごはんを作っていると思う。
今年からパーティはやらないけれど、来てくださるのは大歓迎。
事前に連絡を下されば、マルシェ行って準備してお待ちしています。
さあ、今年は何を作ろうかなぁ。