旅すること 走ること 料理すること Vol.04

Text by 大桑 仁

料理すること①

20代の頃は、仕事ばかりしていた。
生命をつなぐギリギリの
睡眠時間の毎日だったので
色々なことをする余裕がなかった。
 
30歳を過ぎて結婚して
スプーンに入って、プロデューサーとして
時間の使い方が変わった。
その時に料理を始めた。
たぶん、食べることが好きで、作るのも
好きだった父の影響もあったのだと思う。
 
料理をすることは
少しだけこの仕事に似ている。
妄想してメニューを考え、
良い食材を手に入れて、
段取りを考えて下ごしらえをして、
味付けをして、
最後に食べてくれる人の顔を
想像しながら作るところ。
 
仕事で考え事がたくさんたまった時、
野菜の皮を剥いたり、
汚れた皿を洗ったりするような、
単純作業がしたくなる。
 
そんなこともあって
平日でも早く家に帰れる時、
時間があれば料理する。  
旅行に行った先でも、
たいていキッチン付きの家を借りるか
キャンピングカーを借りて料理する。
 
料理するの大変じゃない?
と聞かれることもあるけれど
純粋な楽しみでもあるし
リフレッシュにもなるので
大変だと思ったことは無い。
 
私はこのプロデューサーという仕事が
本当に好きだけれど、
合間に仕事と関係ないことに
夢中になって何かすることは
プロデューサーのクリエイティブ脳を
良い形で刺激してくれて
凄く大切なことなのだと最近思う。
 
人それぞれ違うと思うけど
私にとってはそれが
 
旅することであり
走ることであり
料理することなのだ。