川沿いの芝生の真ん中に一つのベンチが佇んでいる。ある日の夕方、そのベンチには久しぶりに再会する幼馴染の男女が座っている。彼らは小さなベンチで、どこかもどかしいけれど、愛おしくて優しい言葉を交わしていく。
この場所には他にも様々な人々がやってくる。別れ話をするカップルとそこに割り込むおじさん、家出をした姉とそんな姉を探しにやってきた妹、ベンチの撤去を計画する役所の職員たち。
一つのベンチを舞台に、今日を生きる人々のちょっとした日常を切り取るオムニバス長編作品。
In the middle of a riverside park stands a single bench. One evening, a couple of childhood friends who hadn’t seen each other in a while meet up at this bench. Although awkward at times, they sit there exchanging gentle words of affection.
And as time goes by more people gather at this little bench: a couple on the verge of a breakup that gets interrupted by an old man, a runaway and her older sister that comes looking for her, and city officers planning on removing the bench.
At the Bench is an anthology film showing glimpses of the everyday life of various people that gather by this little bench.
地域 | 劇場名 | 電話番号 | 公開日 |
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北海道 | シアターキノ | 011-231-9355 | 近日公開 |
青森 | シネマディクト | 017-722-8538 | 12/21(土) |
宮城 | フォーラム仙台 | 近日公開 | |
山形 | フォーラム山形 | 近日公開 | |
福島 | フォーラム福島 | 近日公開 | |
茨城 | あまや座 | 近日公開 | |
栃木 | 小山シネマロブレ | 050-3196-9000 | 12/20(金) |
栃木 | 宇都宮ヒカリ座 | 028-633-4445 | 近日公開 |
群馬 | シネマテークたかさき | 027-325-1744 | 12/20(金) |
埼玉 | 川越スカラ座 | 049-223-0733 | 近日公開 |
東京 | テアトル新宿 | 03-3352-1846 | 11/15(金) |
東京 | 109シネマズ二子玉川 | 03-5797-2325 | 11/15(金) |
神奈川 | 川崎市アートセンター | 044-955-0107 | 近日公開 |
長野 | 長野相生座・ロキシー | 026-232-3016 | 近日公開 |
長野 | 上田映劇 | 026-822-0269 | 近日公開 |
静岡 | シネ・ギャラリー | 054-250-0283 | 近日公開 |
静岡 | シネマイーラ | 053-489-5539 | 12/27(金) |
愛知 | センチュリーシネマ | 052-264-8580 | 近日公開 |
三重 | 伊勢進富座 | 0596-28-2875 | 近日公開 |
大阪 | テアトル梅田 | 06-6440-5930 | 11/15(金) |
岡山 | シネマ・クレール | 086-231-0019 | 近日公開 |
広島 | サロンシネマ | 082-962-7772 | 近日公開 |
福岡 | KBCシネマ | 092-751-4268 | 12/20(金) |
佐賀 | シアターシエマ | 0952-27-5116 | 近日公開 |
大分 | シネマ5 | 097-536-4512 | 近日公開 |
大分 | 別府ブルーバード劇場 | 0977-21-1192 | 近日公開 |
僕の散歩コースの途中には、川沿いにぽつんと佇む1つの古いベンチがあって、“川沿いにぽつん”と言っても、水辺に近いわけではなく、車道沿いにあるバス停のそれでもなく、芝生の広場の真ん中になぜかそれはあって、球遊びをしている子供たちや、犬の散歩をする人たちがチラホラいるのだけれど、みんな邪魔そうにするわけではなく、かといって座るわけでもなく、ただただ通り過ぎていく。
そのベンチと関わる人を見たことがないので、実は誰にも見えていないのではないかと思ったこともあるのだけれど、恐らく、ベンチの設置場所としては風変わりなスタイルをとっていることで、「あぁ座りたいなぁ」とは思わせない絶妙な調度よくなさがあるのだろう。そのベンチの周辺一帯だけがなぜかコンクリートの地面であることも不思議でならない。
僕がそいつに目をつけてからもう何年も月日が経っているのだけれど、一向に撤去される気配はなく、そいつはやはり誰にも見えていないのかもしれない。
そんなある日、近くで大きな橋の工事が始まった。
東京という街は、いつだってうねるように、まるで生き物のように、部分的な変化を続けている。便利になったり、綺麗になったり、勿論いいこともあるのだけれど、いつの間にか無くなってしまう景色を懐かしむ間もなく、記憶は塗り替えられてしまう。
愛着を抱いていた場所でさえ、久しぶりに訪れると「前はどんな様子だったけ…」なんて忘れてしまうこともしばしばだ。
変わりゆく景色の中で、変わらずそこにいるベンチ。古ぼけた座面はなんだか頼りなく、妙な味わいと個性を放っていて、後ろから眺めたときの、まるでおじいちゃんのような哀愁感に僕は心を奪われ、「いま、このベンチを作品として残しておかないと後悔しそうだ」と思い立ち、ベンチだけを舞台に、誰かの会話を集めたオムニバス映画を作ることに決めました。
というわけで…
『アット・ザ・ベンチ』は、変わり続ける東京という街の中で、変わらずに残したい ”とあるベンチ” を舞台に、四季折々、ある日のある人たちのちょっとした思い出の時間を紡ぎたい、という個人的な願いからスタートした自主制作映画です。
その思いに呼応して、仲間が1人増え、また1人増え…といった具合に、みんなが “個人” としてベンチに集まってくれました。そうして形成された、サッカーチーム1つ分くらいの僕らは、手弁当ながらも、自分たちでやれる限りのことをやってみよう、という考えで1編ずつをじっくりと作り上げてきました。
ある個人の「こういう映画を作りたい」という思いのもとに、同じく「作ってみようよ」という純粋な思いで集まってくれた人たちがいる、そうして作り上げられた作品は、また誰かの「こういう映画が好きだな」という温かな気持ちに届くと嬉しいな、と思っています。
これ以上に純粋な創作は、生涯の中で何度と出来ることか分かりません。
一緒に作って下さった皆さま、本当にありがとうございました!
奥山由之